花の降る午後に

~宮本輝さんへの手紙~

【79-7】『流転の海』全9巻  (その7){ 1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本 輝 さま 謹啓 『流転の海』の中に何度か出てくる『宿命』について、繰り返し考えておりました。このテーマは避けて通れません。「運命」という言葉なら、耳慣れております。それは、自分の意志に関係なく突然訪れる、降って湧いたような幸不幸の転機だ…

【79-6】『流転の海』  全9巻   (その6 ){ 1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本 輝 さま 謹啓 2019年が始まりました。賑やかでお忙しいお正月をお過ごしの事と思い、先週はお手紙を控えておりました。今年もご家族の皆さまのご健康を心よりお祈り申し上げます。 『流転の海』は、作家 宮本 輝さんがお書きになった長編小説です。わか…

【79-5】『流転の海』 全9巻 (その 5) {1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本 輝 さま 謹啓 長い物語の中の、心に残るシーンを思い浮かべております。 衝撃的で、恐ろしいほど忘れ難いシーンは、いくつかありましたが「血や戦い」を伴うので、怖くて、早読みをしてやり過ごしたかも知れません。読み終わって浮かぶのは「幸せな瞬間…

【79-4】『流転の海』全9巻 (その4 ) {1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本 輝 さま 謹啓 『流転の海』の登場人物の現れ方の、自然な流れの妙には絶えず驚かされます。この写真の、色づいた沢山の紅葉を「登場人物」と見立てますと、こんなに沢山の人々が登場したのです。『熊吾』の家族は勿論の事、無二の親友『周 栄文』その『…

【79-3】『流転の海』全9巻 (その3 ) { 1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本 輝 さま 謹啓 今夜は『房江』さんが、私の耳元で〈囁く声〉が聴こえてきました。 《 …稀有な運命に従うように、できることはやってきました。幼い頃はただ哀しくて、実の父にも捨てられて、いつもひとりぽっちでした。『奉公先』では力の限り働いても、…

【79-2】『流転の海』 全9巻 (その2)  {1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本輝さま 謹啓 長編の題名『流転の海』は、人生 山あり谷あり…の意味だけでなく、幾千年前から繰り返し繰り返された生と死の限りない変遷のように思います。 登場人物は、読み手を人生の『海』まで導く案内人。様々な人々が『熊吾』に関わり、頼りにし助け…

【79-1】『流転の海』全9巻 (その1 )  { 1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本 輝 さま 謹啓 『流転の海』よりも前に読んだ作品から、自分なりに受け取らせて頂いた事柄で、何が一番の歓びかと言えば、それは「死への確証」だろうと思います。 ある時、作品を読み終えた途端、目の前に、猛烈な勢いで流れ落ちる光の滝を見たのです。…

【79】『流転の海』全9巻完結 に寄せて

宮本 輝 さま お久し振りでお便り差し上げます。 『流転の海』の最終巻『野の春』単行本が、先月末に発売になりました。 本当におめでとうございます。どんなにか安堵された事と思います。発刊以降の講演会、出版祝賀パーティー、テレビ出演、ラジオ放送等の…

【78】『焚火の終わり』宮本 輝著   《上・下卷》

宮 本 輝 さま お元気のことと思います。初めてお便りを差し上げてから、間もなく二年が経ちます。一方的で申し訳ありませんでしたが、だからこそ、気楽に書かせて頂けました。『流転の海』シリーズを残し、多分これが最後の作品です。『焚火の終わり』は、…

【77】『手紙 』宮本 輝著 1995年小学5年国語(上)に掲載

宮 本 輝 さま 芥川賞の選考も終えられ、落ち着いた日常が戻られましたでしょうか。この時期になりますと、阪神淡路大震災の記憶が甦って参ります。あの年に生まれた子達が もう23歳になるのですね。同じように世界大戦を経験された方々もとてもご高齢になら…

【76】『愉楽の 園』    宮 本  輝 著

宮 本 輝さま いかがお過ごしでおられますでしょうか。今日は『愉楽の園』を読みました。どれほどこの物語を愛しているかを、お伝えできる言葉を持たない自分が本当に無念でなりません。元旦にお便り致しました『青が散る』の中にある『自由と潔癖』が、少し…

【75】『草花たちの 静かな誓い』  宮本 輝 著 

宮 本 輝 さま 静かに新年が始まっています。先日テレビの時事公論で、世界に埋められている地雷について報じられました。地雷は、相手を殺さず、残虐に怪我をさせる事により、周りの人間をも恐怖に陥れ、怪我への対処に多勢の他の人の力までも抑え込む、悪…

【74】『青が 散る』宮本 輝 著   《上・下巻》

宮 本 輝 さま 明けましておめでとうございます。いかがお過ごしでおられますか。ご家族で穏やかなお正月を迎えられたことと思います。今年もどうかよろしくお願い致します。今日は、私にとって運命の作品『青が 散る』を読みました。『青が散る』は私が初め…

【73-2】『水のかたち』宮本  輝 著 《下巻》

宮 本 輝 さま 雪を冠した富士の美しい姿が、この時期だけは、懐かしく思い出されます。それでも、街中の何処にいても、なだらかな六甲山脈が見える関西が好きです。海や山が見えるのはとても落ち着きます。今日は『水のかたち』《下 卷 》を読みましたので…

【73-1】『 水のかたち』宮本  輝 著 《上巻》

宮 本 輝 さま 朝の冷え込みがとてもこたえるようになりました。起きたらすぐに靴下を探してしまいます。いかがお過ごしでしょうか。今日は『水のかたち』《上巻》についてお便り致します。 この写真は、森の中に分け入る「けもの道」のように見えます。物語…

『海岸列車』宮 本  輝 著  《 上・下 卷  》

宮 本 輝 さま 一雨一度の言葉通り、雨の後は気温が少しづつ低くなっております。いかがお過ごしでおられますか。初冬の雨はとても寂しいですが、その分、晴れ渡りますと突き抜けるような青空が、とても清々しいように感じます。今日は『海岸列車』を読みま…

【71】『スワートの男 』宮本  輝 著    《 特別 書き下ろし小説 》

宮 本 輝 さま この秋、日本列島は台風に見舞われ、凄まじい風と、烈しい雨を見つめておりますと、何故か『スワートの男』を読み直したくなりました。これは『宮本輝の本』を購入した折に綴じ込まれていたこともあり、とても特殊な感覚をもって読み終えた気…

【70】『 三千枚の金貨』宮 本 輝 著 《上・下卷》

宮 本 輝さま お元気でおられることと思います。富士山もすっかり雪化粧を見せているそうです。神奈川に住んでおりました頃は、ベランダから冬の富士山を眺めながら洗濯物を干しておりました。富士山の冠雪は日本の冬がとうとうやってきたことを知らせていま…

【69】『寝台車』宮本 輝著 『幻の光』に収録  

宮 本 輝 さま すっかり秋が深まりました。お変わりございませんでしょうか。やっと青空が続いて気持ちの良い毎日です。早めに家事を済ませて、本を読めるのは本当に幸せな時間です。この平和がずっと続きますように。今日は短篇『寝台車』を読みましたので…

【68】『海辺の扉』 宮 本  輝 著  《上・下巻 》

宮 本 輝 さま お元気でおられますか。秋の富山は如何でしたでしょうか。さぞかし充実された日々であっただろうと想像をしておりました。美味しい海の幸も堪能され、空気の澄み切った美しい街並みを歩かれたことでしょう。今日は『海辺の扉』を読みましたの…

【67】『草原の椅子』宮 本 輝 著 《上・下 巻》

宮 本 輝 さま いかがお過ごしでおられますか。季節の変わり目は、体調に思いもよらない悪さをすることがございます。壮健であられますようお祈りしております。今日は『草原の椅子』を読みましたのでお便り致します。 この写真を見た瞬間『ウルタル峰』をつ…

【66-2】『朝の 歓び』 宮 本  輝 著  《下巻》

宮 本 輝 さま お元気でお暮らしのことと思います。朝夕は寒いくらいの日もあり、日中は夏のようです。上着を着たり脱いだりしております。花々も姿を変え、気持ちのいい時期です。今日は『朝の歓び』《下巻》についてお便り致します。 この写真は『大垣老人…

【66-1】『朝の歓び』宮 本  輝 著   《上巻》

宮 本 輝 さま 虫の音が力を増してまいりました。命の限り、力の限り、鳴き競っているように感じます。いかがお過ごしでおられますか。温かいお茶が美味しくて、そばに置きながらの読書は、夜の愉しみです。今日は『朝の歓び』《上巻》を読ませて頂きました…

【65】『ここに地終わり 海始まる』宮本  輝 著 上・下巻

宮 本 輝 さま 身体が涼しさに慣れて過ごし易い毎日かと思っておりましたら、真夏のような暑い日もありました。陽が早く沈み、夕食後の時間がとてもゆったり感じます。好きな音楽を低く流しながら、本を読むのは本当に愉しい時間です。今日は『ここに地終わ…

【64】『にぎやかな天地』宮 本  輝 著  上下巻

宮 本 輝 さま お変わりなくお過ごしのことと思います。暑いと文句を言っておりましたが、秋めいてきますと、毎年のことながら急に心細くなります。寒いのは大の苦手なので、もう少しの間この気候が続いて欲しいものです。今日は『にぎやかな天地』を読み終…

【63】『オレンジの壺』 宮本  輝 著     上下巻

宮本 輝 さま やっと九月に入りました。まだまだ暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでおられますか。八月はお忙しい事と思い、お便りを差し控えておりました。またこうして本が読める事を、嬉しく思っております。今日は『オレンジの壺』を読みました…

【62】『こうもり』 宮本  輝 著     『幻の光』に収録

宮 本 輝 さま ますます暑さが厳しくなっております。札幌に住む姉まで、今年は耐えられない暑さだと申しておりました。そちらは如何でしょうか? 関西では今朝、少し涼しい風が吹いて、一息つけた気が致しました。ですが、日中の暑さは嘗て経験したことがな…

【61-2】『睡蓮の長いまどろみ』 宮 本   輝  著  《下巻》

宮 本 輝 さま 暑く長い夏が始まっています。今年は春から一気に真夏の暑さです。汗をかかなければ、身体から毒素は抜けないだろうと、昼間はエアコンを点けないで過ごしておりますが、たまらなくなると、近くの涼しいショッピングモールを、ただ歩くために…

【61-1】『睡蓮の長いまどろみ』 宮 本  輝 著 《上巻》

宮 本 輝 さま 暑くて寝苦しい日が続きますが、お元気でおられますでしょうか。九州北部を襲った豪雨による土砂崩れは、夥しい流木を橋桁に絡ませ、濁流が民家を襲いました。目を疑うような惨状に現実感を失う程です。被災地に日常生活が戻る日までまた長い…

【60】『森の中の海』 宮 本  輝 著   上下巻 

宮 本 輝 さま 息つく暇もないくらい次々ニュースが続きますが、お変わりございませんか。この本を読み始めた頃、北九州を襲った豪雨のニュースが映し出され「何もかも、のうなってしもうた…」と呆然とされているお年寄りに心が痛みました。今日は『森の中の…