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花の降る午後に

~宮本輝さんへの手紙~

【50】『西瓜トラック』宮本  輝 著  『星々の悲しみ』に収録

宮本 輝さま お元気でお暮らしのことと思います。今朝、何気なく『宮本輝の本』をめくっておりました。『自己分析』の項を読んでいますと、同時に6篇の連載を抱えておられた時期があったことが記されていました。流行り言葉で表すと神業です。『我慢強さ』…

【49】『夢見通りの人々』  宮本  輝著

宮本 輝さま 三月に入りました。貴方さまにおかれましては、古希を迎えられ、お元気にお仕事をされておられますこと、心よりお慶び申し上げます。本当におめでとうございます。私はポカポカと太陽を浴びるのが好きです。晴れた日は、近所をただゆっくり歩い…

【48】『泥の河』 宮本 輝著

宮本 輝さま 2月は飛ぶように過ぎ去った気が致します。今年も一度も風邪を引かずに乗り切れました。あまり人混みへ行かない所為ですね。私は都会の喧騒が好きではありません。用事で都会に出ても、終わると一目散で家に帰ってきます。今日は『泥の河』を読み…

【47】『螢川』 宮本 輝著

宮本 輝さま 今週は雨が降りました。恵みの雨のようです。冬の霙混じりの頃とは、空気の温度が違ってきました。東風と北風が交互に吹き、本当の春に近づいていくのですね。いかがお過ごしでおられますでしょうか。今日は『螢川』を読みましたのでお便り致し…

【46】『道頓堀川』 宮本 輝著

宮本 輝 さま 貴方に手紙を書く土曜日は、どんな風にお過ごしでしょうか。多分、いつもと変わらない時間通りのお仕事だろうと想像しております。取材で遠くまで行かれることもおありでしょうが、その時は連載などのご用意もおありで、お忙しいのだろうと思い…

【45】『いのちの姿』 宮本輝著

宮本 輝さま またお便り致します。ご迷惑でないことを念じつつ書いています。こんな一方的なお手紙は、あり得ないと思うこともありますが、貴方の作品が、私を突き動かしている気が致します。遠い日々を思い出しながらの思い込みばかりで、いつも申し訳あり…

【44】『優駿』宮本輝著 上下巻

宮本 輝様 庭の梅も枝いっぱいに開花して、今日は立春です。春の暖かさへ一歩づつ向かっています。まだ朝の厳しい寒さは続きそうですが、お変わりございませんか。今日は、懐かしい『優駿』を手に取りました。寒い時期だからこそ読み返したい一冊でした。 こ…

【43】『田園発 港行き自転車』宮本 輝著 上下巻

宮本 輝さま ここ数日の冷え込みで、大地はすっかり冷え切ったようです。でも今日は素晴らしい青空です。明るい日差しは冬の小休止のようです。先週のテレビで仰っていた『書かずに書く…』は本当に難しいことです。画面に映し出されました『田園発港行き自転…

【42】『約束の冬』 宮本輝著

宮本 輝さま やはり寒気がやって来ました。今日は朝から落ち着きません。NHK教育テレビに貴方がご出演される日だからです。22時まであと少しです。とても楽しみです。今日は『約束の冬』についてお便り致します。 この写真に対する感覚は、少し違うのかも知…

【41】『ドナウの旅人』宮本 輝著 その2

宮本 輝 さま いつも通りの日常が戻って参りました。この平安が続きますようにと願っております。 自分さえ良ければいい、自国さえ潤えば良いと言う風潮は少し不安です。これが自国の文化を深めてゆく方向に向かうよう願うばかりです。こんな時に本を読んで…

【40】『ドナウの旅人』宮本輝著 その1

宮本 輝さま 新しい年をいかがお過ごしでおられますか。年の初めは決意を新たにしなくてはと思います。幼い頃、大晦日の夜には 晴れ着、靴、靴下、下着、ハンカチ まで買ったばかりの新品を枕元に置いて、明日は見たこともない日がやってくるんだろうとドキ…

【39】『錦繍』宮本 輝著 その4

宮本 輝さま 異常気象が叫ばれて久しいですが、冬の夜空にひときわ輝く宵の明星を見つけますと、とても嬉しくなります。伊丹の空からも金星の輝きが見えていると良いのですが。今日は『錦繍』の最後のお便りを致します。 この写真は不思議な世界が写し撮られ…

【38】『錦繍』宮本 輝 著 その3

宮本 輝さま 夕べ遅くに降り出した雨が、今朝まで音もなく降り続いております。初冬の雨は哀しい調べをつれてきます。いかがお過ごしでおられますか。 今日は『錦繍』の3通目のお便りをさせて頂きます。 この写真は、降り積もる紅葉が地面を覆い尽くし、見…

【37】『錦繍』宮本 輝 著 その2

宮本 輝さま 日本の冬がこうして寒気を連れて来てくれますのは、何故か安心致します。幼い頃、母がよく申しておりました。「冬に寒いのんは当たり前や。寒うないとでけんことをしたらよろし…」私は「やった~」とばかりにやぐら炬燵に脚を突っ込み、本を読ん…

【36】『錦繍』宮本 輝著 その1

宮本 輝 さま 連載を抱えておられ、取材や雑誌にも答えられる毎日を想像致しますと、本当にタフでおられますね。新刊『草花たちの静かな誓い』発売おめでとうございます。カバーを外すと青空の色…愉しんで読ませて頂いています。多くの人が読んで下さるよう…

【35】『昆明・円通寺街』宮本 輝 著   『 五千回の生死』に収録

宮本 輝さま お元気でおられることと思います。『五千回の生死』の最後の1篇になりました。この編集にも意味があるのでしょう。読み終わって、心が落ち着き、静かになったように感じました。今日は『昆明・円通寺街』についてお便り致します。 最後の一篇に…

【34】『紫頭巾』 宮本 輝 著 『五千回の生死』に収録

宮本 輝さま 初冬の空気は澄み切っています。ここから叫べば、お住いの伊丹市まで届きそうに感じる程です。長編『流転の海』は、いよいよ最終編の連載が進み、お忙しい毎日をお送りになっておられる事でしょう。とても楽しみにしております。今日は『紫頭巾…

【33】『バケツの底』 宮本 輝 著   『五千回の生死』に収録  

宮本 輝さま お元気でおられますか? 毎日膨大な文字を追っておられますと、目の芯に負担がかかります。時々遠くを見てくださいますように。今日は『バケツの底』を読みましたので、お便り致します。 お借りしました写真の川は ある時は分かれ、ある時は元の…

【32】『復讐』 宮本 輝 著  『五千回の生死に収録

宮本 輝さま 朝早く目覚めて、ベットで本を読んでいますと寒くて中々抜け出せなくなりました。お風邪など召されませんようにお祈り致しております。今日は『復讐』を読みましたのでお便り致します。 いつも楽しく笑い声が絶えず、真剣な探究心に溢れ、友情の…

【31】『アルコール兄弟』 宮本 輝著  『五千回の生死』に収録

宮本 輝さま お元気のことと思います。抜けるような秋の空を見ていますと、時間が止まってしまったようです。これまでに出会ったやさしい人達の顔が 澄み渡った青空に浮かびます。今日は『アルコール兄弟』を読みましたのでお便り致します。 お借り致しまし…

【30】『五千回の生死』宮本輝著 『五千回の生死』に収録

宮本 輝さま お元気でおられますか。夏に咲き誇っていたペチュニアもすっかり花を落としてしまいました。零れた種子がアスファルトの隙間から最後の一輪をのぞかせて秋の陽を浴びています。今日は『五千回の生死』を読みましたのでお便り致します。 この写真…

【29】『力』 宮本 輝著  『五千回の生死』に収録

宮本 輝さま 秋が日に日に深くなっています。この季節には昔のことを思い出す不思議な空気が漂っているようです。 幼い頃の自宅の庭には、祖父が育てた実のなる木々が沢山ありました。納屋の中には買ってもらったばかりの自転車が光っていて、横の棚にはお餅…

【28】『眉墨』 宮本 輝著   『 五千回の生死』に収録

宮本 輝さま 今年は雨が多いように感じます。この雨が日本の大地を潤してくれています。ありがたいと思いながら、何度も台風に見舞われる沖縄地方の方は本当にご苦労をされています。どうか被害が出ませんように。今日は『眉墨』を読みましたので お便り致し…

【27】『トマトの話』 宮本輝著  『五千回の生死』に収録

宮本輝さま 秋は物思いの季節ですね。時代が目まぐるしく変わってゆくのを、ただぼんやり見ているように思う時があります。野辺に咲く曼珠沙華は美しいのだろうか、それとも死人を出す恐ろしい花なのだろうか…とりとめもない事を考えています。今日は『五千…

【26】『香炉』宮本輝著   『真夏の犬』に収録

この写真は、次々と愛する人を追いかけ、懸命に命の限り求めずにはいられなかった『清玉』の心のようです。 身体から無数の感情を迸らせて、細い糸で精一杯の愛情を求めています。ピタリの写真をお借りできて感謝しています。 『一心不乱』という言葉が出て…

【25】『赤ん坊はいつ来るか』宮本輝著 『真夏の犬』に収録

宮本輝さま お元気でおられますか? 数十年前、貴方に宛てて便箋 10枚の長い手紙を書いたことがありました。けれどこんな手紙は自己満足で、著名な作家が読者からの手紙を読む訳がないと考えて、出す勇気がありませんでした。でも、先日お会いした時『ブログ…

【24】『チョコレートを盗め』 宮本輝著  『真夏の犬』に収録

宮本輝さま やっと涼しくなり、ホッと致します。この夏も昼間はエアコン無しで過ごしました。近頃 報じられる残虐なニュースまた次々襲う災害の猛威に、時として気持ちが削がれてしまいそうです。でも出来ることをやり続けるしかありません。貴方がなさって…

【23】『力道山の弟』 宮本輝著  『真夏の犬』に収録

宮本輝さま お元気でおられますか。最近読んだ 志村ふくみさんの著書に「白いままではいられない」という言葉がありました。この本では染色について書かれていましたが、花も人も蕾のままではいられないから、いつか蕾は膨らみ、つかの間 開花して、萎れて散…

【22】『階段』 宮本輝著   『真夏の犬』に収録

宮本輝さま お元気でおられますでしょうか? 『階段』を読む前に、ドフトエフスキーの「貧しき人びと」を読み直しました 。貧しさとはどれ程の苦しみかを、もう一度 確かめる為です。感傷的な言葉で埋め尽くされた処女作との事ですが、一気に読み終えなけれ…

【21】『ホット・コーラ』 宮本輝著  『真夏の犬』に収録

宮本輝さま お元気でおられますでしょうか? 朝早く目覚めますと、もう確かに秋の気配を感じます。まだ星が見えて、近くで野鳩が少し寂しそうに鳴いています。今日は『ホット・コーラ』を読みましたのでお便り致します。 沢山の蓮が咲いている広い池からすく…

【20】『駅』 宮本輝著   『真夏の犬』に収録

宮本輝さま 本当にこの夏は今までにない暑さです。お変わりございませんでしょうか? 昨年このお話に出ている『能登鹿島』の駅に降り立つことが出来ました。無人駅は初めてでした。ひと時、ここで風に吹かれておりました。目を瞑ると物語の光景が浮かぶよう…

【19】『暑い道』 宮本輝著 『真夏の犬』に収録

宮本輝さま 我が家の横を走る六甲山グリーンベルトから、朝と夕方、緑に冷まされた爽やかな風が吹いて来ます。ひと時 貴方のおられる場所の風を想像しております。庭に水を打ったり、蚊取り線香の匂いを嗅いだりして、夏をやり過ごしています。今日は『暑い…

【18】『真夏の犬』  宮本輝著    『真夏の犬』に収録

宮本輝さま 暑さには強い方ですが、さすがに今年はもう極まってきました。お変わりございませんか?この短編集は先にお便りしました『胸の香り』より、数年前に執筆されていますが、季節に合わせ、入れ替えてみました。今日は第1篇目で題名にあります『真夏…

【17】『道に舞う』宮本輝著 『胸の香り』に収録

宮本輝さま とうとう真夏の日差しがやって来て、温度も湿度も高い毎日です。芥川賞の選考ご苦労さまでした。暑さがお嫌いだとお伺いしていますので、どうか早めに涼しい場所に移られたら安心なのですが。今日はこの短編集 の最後『道に舞う』を読みましたの…

【16】『深海魚を釣る』宮本輝著 『胸の香り』に収録

宮本輝さま お元気でいらっしゃいますか? 『長流の畔』はまだ本棚にしまえず、そばの机に置いてあります。 読み終えても、ハイおしまいといかないのです。いつも色々な場面を思い浮かべております。こんな時間も私には愉しい読書の時間です。 今日は『深海…

【15】『しぐれ屋の歴史』 宮本輝著 『胸の香り』に収録

宮本輝さま お変わりございませんでしょうか? 『長流の畔』は、何人もの方が読み終えられ、感想をコメントされています。 胸に浸潤する悲しみに捉えられてしまいましたが、「あとがき」にあります『意志』は、悲しみの果てに、『房江』さんが自害までされた…

【14】『胸の香り』 宮本輝著  『胸の香り』に収録

宮本輝さま 梅雨が続いていますがお変わりございませんでしょうか? 今日は真夏の暑さです。 大長編小説 『流転の海』第8部『長流の畔』の発売 おめでとうございます。 私のFBでも沢山の方々がアップされていました。嬉しいです。 今日は、先週の続きです。…

【13】『さざなみ』 宮本輝著 『胸の香り』に収録

宮本輝さま 梅雨の空を見上げますと、初めてお会いした折、手が震える本態性振戦のご病気のことをお伺いしたのを思い出します。長年の万年筆でのご執筆は想像もできない負担を手に及ぼしていたのでしょうが、この時期、どうかお大事になさいますように。今日…

【12】『舟を焼く』宮本輝著 『胸の香り』収録

宮本輝さま 曇り空が続いていましたが、今日の太陽は、まるで真夏のようでした。 今年の夏は厳しい暑さになりそうな予感が致します。どうか、ご自愛下さいますように。今日は、短編集『胸の香り』の2篇目『舟を焼く』を読みましたので、お便りさせて頂きま…

【11】『月に浮かぶ』宮本輝著 『胸の香り』収録

宮本輝さま お元気でいらっしゃいますか? 今日は短編集『胸の香り』の第1篇『月に浮かぶ』を読みましたのでお便り致します。 短編は家を建てる時の「足場」だと仰いましたので、私は自分勝手な家を建てるかもしれません。どうか笑ってお許しくださいますよ…

【10】『彗星物語』 宮本輝著

宮本輝さま 先日は思いがけずお会いできまして本当に嬉しかったです。 お元気そうでとても安心致しました。お別れの時は大声で叫んでしまいました。 曲がり角で手を上げて下さいましたが、きっと苦笑いされていたことでしょう。 お忙しい中、ありがとうござ…

【9】カインの印

☆★読んで下さってる皆さまへ ☆★ いつの間にか春がいってしまいました。 春が来るたび、そして去ってしまう度、何故か哀しさを感じます。他の季節には起こらない郷愁や、少しの厭世観にも襲われます。所謂 「木の芽時」に過ぎないのでしょうが、普段はしない…

【8】『血の騒ぎを聴け』 宮本輝著

宮本輝さま お変わりございませんか? お忙しい毎日、どうかご自愛くださいますように。 今日は『血の騒ぎを聴け』を読みましたのでお便り致します。 『血が騒ぐ』のは、父母の血脈より来たるもの。 3冊目の随筆集です。 1篇1篇 大切に読ませて頂きました…

【7】『命の器』 宮本輝著

宮本輝さま お変わりなくお過ごしでしょうか? 夏がすぐそこまで来ていますね。 今日は『命の器』を読みましたのでお便り致します。 この本には33篇の随筆が収められています。 題名にもあります『命の器』とはどのようなものなのでしょう。 『 人と人がつな…

【6】『二十歳の火影』 宮本輝著

宮本輝さま お元気でおられますか。 ひと雨ごとに夏が近づいております。 今日は『二十歳の火影』を読みましたのでお便り致します。 『二十歳の火影』は、読み返します度に、まるで小さい頃の宝箱を覗いたように、懐かしい香りが鼻をかすめるような気が致し…

【5】『星々の悲しみ』 宮本輝著

宮本輝さま お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか。 雨の日が続きましたが、ここ数日明るい日差しに恵まれています。 光を受けて輝くポピーの写真をお借りできましたのでお届け致します。 まるで地上に降った星々の欠片が色とりどりに咲いているようで…

【4】『幻の光』 宮本輝著 

宮本輝さま お忙しい毎日をお過ごしのご様子、お元気でおられますか。 今日は『幻の光』を読みましたので、お便り致します。 貴方の作品には無駄な語句は、一字もない事を知っています。 何度も読み返して、『幻の光』とはなんだろう… 知りたくて、烈しい衝…

【3】『春の夢』 宮本輝著

宮本輝さま お元気でお過ごしでしょうか。 満開だった桜が散り、季節の移る柔らかい時間を過ごしております。 今日は『春の夢』を読みましたので、お便り致します。 物語は、若い2人の恋のゆくえを追いながら、人が生まれながらにもつ宿命についても考えさせ…

【2】『夜桜』宮本輝著  『幻の光』収録

宮本輝さま お変わりなくお過ごしでしょうか。 今日は『夜桜』を読みましたので、お便り致します。 四分咲きの桜に朝の光が当たると、誰でも佇んで見上げてしまいます。 なんて美しいのだろうと。 けれど、その花びらが顔に舞い落ちると煩わしいような、もう…

【1】『花の降る午後』上・下巻 宮本輝著

宮本輝さま、お元気でおられますか? 『花の降る午後』を読ませて頂きましたので、心に浮かんだことを お便りにしてみます。 神戸北野坂に降る花びらは、やはり桜でありますように。 まだ満開にはなっていないのに、海から吹いてくる風に揺れ、誰かの訪れを…