2018-01-01から1年間の記事一覧
宮本 輝 さま 謹啓 長い物語の中の、心に残るシーンを思い浮かべております。 衝撃的で、恐ろしいほど忘れ難いシーンは、いくつかありましたが「血や戦い」を伴うので、怖くて、早読みをしてやり過ごしたかも知れません。読み終わって浮かぶのは「幸せな瞬間…
宮本 輝 さま 謹啓 『流転の海』の登場人物の現れ方の、自然な流れの妙には絶えず驚かされます。この写真の、色づいた沢山の紅葉を「登場人物」と見立てますと、こんなに沢山の人々が登場したのです。『熊吾』の家族は勿論の事、無二の親友『周 栄文』その『…
宮本 輝 さま 謹啓 今夜は『房江』さんが、私の耳元で〈囁く声〉が聴こえてきました。 《 …稀有な運命に従うように、できることはやってきました。幼い頃はただ哀しくて、実の父にも捨てられて、いつもひとりぽっちでした。『奉公先』では力の限り働いても、…
宮本輝さま 謹啓 長編の題名『流転の海』は、人生 山あり谷あり…の意味だけでなく、幾千年前から繰り返し繰り返された生と死の限りない変遷のように思います。 登場人物は、読み手を人生の『海』まで導く案内人。様々な人々が『熊吾』に関わり、頼りにし助け…
宮本 輝 さま 謹啓 『流転の海』よりも前に読んだ作品から、自分なりに受け取らせて頂いた事柄で、何が一番の歓びかと言えば、それは「死への確証」だろうと思います。 ある時、作品を読み終えた途端、目の前に、猛烈な勢いで流れ落ちる光の滝を見たのです。…
宮本 輝 さま お久し振りでお便り差し上げます。 『流転の海』の最終巻『野の春』単行本が、先月末に発売になりました。 本当におめでとうございます。どんなにか安堵された事と思います。発刊以降の講演会、出版祝賀パーティー、テレビ出演、ラジオ放送等の…
宮 本 輝 さま お元気のことと思います。初めてお便りを差し上げてから、間もなく二年が経ちます。一方的で申し訳ありませんでしたが、だからこそ、気楽に書かせて頂けました。『流転の海』シリーズを残し、多分これが最後の作品です。『焚火の終わり』は、…
宮 本 輝 さま 芥川賞の選考も終えられ、落ち着いた日常が戻られましたでしょうか。この時期になりますと、阪神淡路大震災の記憶が甦って参ります。あの年に生まれた子達が もう23歳になるのですね。同じように世界大戦を経験された方々もとてもご高齢になら…
宮 本 輝さま いかがお過ごしでおられますでしょうか。今日は『愉楽の園』を読みました。どれほどこの物語を愛しているかを、お伝えできる言葉を持たない自分が本当に無念でなりません。元旦にお便り致しました『青が散る』の中にある『自由と潔癖』が、少し…
宮 本 輝 さま 静かに新年が始まっています。先日テレビの時事公論で、世界に埋められている地雷について報じられました。地雷は、相手を殺さず、残虐に怪我をさせる事により、周りの人間をも恐怖に陥れ、怪我への対処に多勢の他の人の力までも抑え込む、悪…
宮 本 輝 さま 明けましておめでとうございます。いかがお過ごしでおられますか。ご家族で穏やかなお正月を迎えられたことと思います。今年もどうかよろしくお願い致します。今日は、私にとって運命の作品『青が 散る』を読みました。『青が散る』は私が初め…