花の降る午後に

~宮本輝さんへの手紙~

2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

【79-5】『流転の海』 全9巻 (その 5) {1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本 輝 さま 謹啓 長い物語の中の、心に残るシーンを思い浮かべております。 衝撃的で、恐ろしいほど忘れ難いシーンは、いくつかありましたが「血や戦い」を伴うので、怖くて、早読みをしてやり過ごしたかも知れません。読み終わって浮かぶのは「幸せな瞬間…

【79-4】『流転の海』全9巻 (その4 ) {1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本 輝 さま 謹啓 『流転の海』の登場人物の現れ方の、自然な流れの妙には絶えず驚かされます。この写真の、色づいた沢山の紅葉を「登場人物」と見立てますと、こんなに沢山の人々が登場したのです。『熊吾』の家族は勿論の事、無二の親友『周 栄文』その『…

【79-3】『流転の海』全9巻 (その3 ) { 1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本 輝 さま 謹啓 今夜は『房江』さんが、私の耳元で〈囁く声〉が聴こえてきました。 《 …稀有な運命に従うように、できることはやってきました。幼い頃はただ哀しくて、実の父にも捨てられて、いつもひとりぽっちでした。『奉公先』では力の限り働いても、…

【79-2】『流転の海』 全9巻 (その2)  {1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本輝さま 謹啓 長編の題名『流転の海』は、人生 山あり谷あり…の意味だけでなく、幾千年前から繰り返し繰り返された生と死の限りない変遷のように思います。 登場人物は、読み手を人生の『海』まで導く案内人。様々な人々が『熊吾』に関わり、頼りにし助け…

【79-1】『流転の海』全9巻 (その1 )  { 1~9巻のテーマ別  読後感を記載 }

宮本 輝 さま 謹啓 『流転の海』よりも前に読んだ作品から、自分なりに受け取らせて頂いた事柄で、何が一番の歓びかと言えば、それは「死への確証」だろうと思います。 ある時、作品を読み終えた途端、目の前に、猛烈な勢いで流れ落ちる光の滝を見たのです。…