花の降る午後に

~宮本輝さんへの手紙~

2017-01-01から1年間の記事一覧

【48】『火』宮本 輝 著 『星々の悲しみ』に収録

宮本 輝さま 四月に入りました。気持ちの良い日が続いています。桜の木の枝先が、黒く尖っていたのに、いつの間にか細い枝先が少しづつ丸みを帯び、薄桃色になってゆくのを眺めているこの時期がとても好きです。今年はゆっくり春が来ているようです。今日は…

【47】『北病棟』 宮本 輝 著 『星々の悲しみ』に収録

宮本 輝 さま お変わりございませんか。 もう3月も残り少なくなりました。いつまでも寒い日が続いておりましたが、やっと春めいてまいりました。眩しい太陽はありがたいです。春は別れのイメージです。若い人達に、また新しい出会いが待っていますように。今…

【46】『西瓜トラック』宮本  輝 著  『星々の悲しみ』に収録

宮本 輝さま お元気でお暮らしのことと思います。今朝、何気なく『宮本輝の本』をめくっておりました。『自己分析』の項を読んでいますと、同時に6篇の連載を抱えておられた時期があったことが記されていました。流行り言葉で表すと神業です。『我慢強さ』…

【45】『夢見通りの人々』  宮本  輝著

宮本 輝さま 三月に入りました。貴方さまにおかれましては、古希を迎えられ、お元気にお仕事をされておられますこと、心よりお慶び申し上げます。本当におめでとうございます。私はポカポカと太陽を浴びるのが好きです。晴れた日は、近所をただゆっくり歩い…

【44】『泥の河』 宮本 輝著

宮本 輝さま 2月は飛ぶように過ぎ去った気が致します。今年も一度も風邪を引かずに乗り切れました。あまり人混みへ行かない所為ですね。私は都会の喧騒が好きではありません。用事で都会に出ても、終わると一目散で家に帰ってきます。今日は『泥の河』を読み…

【43】『螢川』 宮本 輝著

宮本 輝さま 今週は雨が降りました。恵みの雨のようです。冬の霙混じりの頃とは、空気の温度が違ってきました。東風と北風が交互に吹き、本当の春に近づいていくのですね。いかがお過ごしでおられますでしょうか。今日は『螢川』を読みましたのでお便り致し…

【42】『道頓堀川』 宮本 輝著

宮本 輝 さま 貴方に手紙を書く土曜日は、どんな風にお過ごしでしょうか。多分、いつもと変わらない時間通りのお仕事だろうと想像しております。取材で遠くまで行かれることもおありでしょうが、その時は連載などのご用意もおありで、お忙しいのだろうと思い…

【41】『いのちの姿』 宮本輝著

宮本 輝さま またお便り致します。ご迷惑でないことを念じつつ書いています。こんな一方的なお手紙は、あり得ないと思うこともありますが、貴方の作品が、私を突き動かしている気が致します。遠い日々を思い出しながらの思い込みばかりで、いつも申し訳あり…

【40】『優駿』宮本輝著 上下巻

宮本 輝様 庭の梅も枝いっぱいに開花して、今日は立春です。春の暖かさへ一歩づつ向かっています。まだ朝の厳しい寒さは続きそうですが、お変わりございませんか。今日は、懐かしい『優駿』を手に取りました。寒い時期だからこそ読み返したい一冊でした。 こ…

【39】『田園発 港行き自転車』宮本 輝著 上下巻

宮本 輝さま ここ数日の冷え込みで、大地はすっかり冷え切ったようです。でも今日は素晴らしい青空です。明るい日差しは冬の小休止のようです。先週のテレビで仰っていた『書かずに書く…』は本当に難しいことです。画面に映し出されました『田園発港行き自転…

【38】『約束の冬』 宮本輝著

宮本 輝さま やはり寒気がやって来ました。今日は朝から落ち着きません。NHK教育テレビに貴方がご出演される日だからです。22時まであと少しです。とても楽しみです。今日は『約束の冬』についてお便り致します。 この写真に対する感覚は、少し違うのかも知…

【37-2】『ドナウの旅人』宮本 輝著 その2

宮本 輝 さま いつも通りの日常が戻って参りました。この平安が続きますようにと願っております。 自分さえ良ければいい、自国さえ潤えば良いと言う風潮は少し不安です。これが自国の文化を深めてゆく方向に向かうよう願うばかりです。こんな時に本を読んで…

【37-1】『ドナウの旅人』宮本輝著 その1

宮本 輝さま 新しい年をいかがお過ごしでおられますか。年の初めは決意を新たにしなくてはと思います。幼い頃、大晦日の夜には 晴れ着、靴、靴下、下着、ハンカチ まで買ったばかりの新品を枕元に置いて、明日は見たこともない日がやってくるんだろうとドキ…