花の降る午後に

~宮本輝さんへの手紙~

【19】『暑い道』 宮本輝著 『真夏の犬』に収録

宮本輝さま 我が家の横を走る六甲山グリーンベルトから、朝と夕方、緑に冷まされた爽やかな風が吹いて来ます。ひと時 貴方のおられる場所の風を想像しております。庭に水を打ったり、蚊取り線香の匂いを嗅いだりして、夏をやり過ごしています。今日は『暑い…

【18】『真夏の犬』  宮本輝著    『真夏の犬』に収録

宮本輝さま 暑さには強い方ですが、さすがに今年はもう極まってきました。お変わりございませんか?この短編集は先にお便りしました『胸の香り』より、数年前に執筆されていますが、季節に合わせ、入れ替えてみました。今日は第1篇目で題名にあります『真夏…

【17】『道に舞う』宮本輝著 『胸の香り』に収録

宮本輝さま とうとう真夏の日差しがやって来て、温度も湿度も高い毎日です。芥川賞の選考ご苦労さまでした。暑さがお嫌いだとお伺いしていますので、どうか早めに涼しい場所に移られたら安心なのですが。今日はこの短編集 の最後『道に舞う』を読みましたの…

【16】『深海魚を釣る』宮本輝著 『胸の香り』に収録

宮本輝さま お元気でいらっしゃいますか? 『長流の畔』はまだ本棚にしまえず、そばの机に置いてあります。 読み終えても、ハイおしまいといかないのです。いつも色々な場面を思い浮かべております。こんな時間も私には愉しい読書の時間です。 今日は『深海…

【15】『しぐれ屋の歴史』 宮本輝著 『胸の香り』に収録

宮本輝さま お変わりございませんでしょうか? 『長流の畔』は、何人もの方が読み終えられ、感想をコメントされています。 胸に浸潤する悲しみに捉えられてしまいましたが、「あとがき」にあります『意志』は、悲しみの果てに、『房江』さんが自害までされた…

【14】『胸の香り』 宮本輝著  『胸の香り』に収録

宮本輝さま 梅雨が続いていますがお変わりございませんでしょうか? 今日は真夏の暑さです。 大長編小説 『流転の海』第8部『長流の畔』の発売 おめでとうございます。 私のFBでも沢山の方々がアップされていました。嬉しいです。 今日は、先週の続きです。…

【13】『さざなみ』 宮本輝著 『胸の香り』に収録

宮本輝さま 梅雨の空を見上げますと、初めてお会いした折、手が震える本態性振戦のご病気のことをお伺いしたのを思い出します。長年の万年筆でのご執筆は想像もできない負担を手に及ぼしていたのでしょうが、この時期、どうかお大事になさいますように。今日…

【12】『舟を焼く』宮本輝著 『胸の香り』収録

宮本輝さま 曇り空が続いていましたが、今日の太陽は、まるで真夏のようでした。 今年の夏は厳しい暑さになりそうな予感が致します。どうか、ご自愛下さいますように。今日は、短編集『胸の香り』の2篇目『舟を焼く』を読みましたので、お便りさせて頂きま…

【11】『月に浮かぶ』宮本輝著 『胸の香り』収録

宮本輝さま お元気でいらっしゃいますか? 今日は短編集『胸の香り』の第1篇『月に浮かぶ』を読みましたのでお便り致します。 短編は家を建てる時の「足場」だと仰いましたので、私は自分勝手な家を建てるかもしれません。どうか笑ってお許しくださいますよ…

【10】『彗星物語』 宮本輝著

宮本輝さま 先日は思いがけずお会いできまして本当に嬉しかったです。 お元気そうでとても安心致しました。お別れの時は大声で叫んでしまいました。 曲がり角で手を上げて下さいましたが、きっと苦笑いされていたことでしょう。 お忙しい中、ありがとうござ…

【9】カインの印

☆★読んで下さってる皆さまへ ☆★ いつの間にか春がいってしまいました。 春が来るたび、そして去ってしまう度、何故か哀しさを感じます。他の季節には起こらない郷愁や、少しの厭世観にも襲われます。所謂 「木の芽時」に過ぎないのでしょうが、普段はしない…

【8】『血の騒ぎを聴け』 宮本輝著

宮本輝さま お変わりございませんか? お忙しい毎日、どうかご自愛くださいますように。 今日は『血の騒ぎを聴け』を読みましたのでお便り致します。 『血が騒ぐ』のは、父母の血脈より来たるもの。 3冊目の随筆集です。 1篇1篇 大切に読ませて頂きました…

【7】『命の器』 宮本輝著

宮本輝さま お変わりなくお過ごしでしょうか? 夏がすぐそこまで来ていますね。 今日は『命の器』を読みましたのでお便り致します。 この本には33篇の随筆が収められています。 題名にもあります『命の器』とはどのようなものなのでしょう。 『 人と人がつな…

【6】『二十歳の火影』 宮本輝著

宮本輝さま お元気でおられますか。 ひと雨ごとに夏が近づいております。 今日は『二十歳の火影』を読みましたのでお便り致します。 『二十歳の火影』は、読み返します度に、まるで小さい頃の宝箱を覗いたように、懐かしい香りが鼻をかすめるような気が致し…

【5】『星々の悲しみ』 宮本輝著

宮本輝さま お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか。 雨の日が続きましたが、ここ数日明るい日差しに恵まれています。 光を受けて輝くポピーの写真をお借りできましたのでお届け致します。 まるで地上に降った星々の欠片が色とりどりに咲いているようで…

【4】『幻の光』 宮本輝著 

宮本輝さま お忙しい毎日をお過ごしのご様子、お元気でおられますか。 今日は『幻の光』を読みましたので、お便り致します。 貴方の作品には無駄な語句は、一字もない事を知っています。 何度も読み返して、『幻の光』とはなんだろう… 知りたくて、烈しい衝…

【3】『春の夢』 宮本輝著

宮本輝さま お元気でお過ごしでしょうか。 満開だった桜が散り、季節の移る柔らかい時間を過ごしております。 今日は『春の夢』を読みましたので、お便り致します。 物語は、若い2人の恋のゆくえを追いながら、人が生まれながらにもつ宿命についても考えさせ…

【2】『夜桜』宮本輝著  『幻の光』収録

宮本輝さま お変わりなくお過ごしでしょうか。 今日は『夜桜』を読みましたので、お便り致します。 四分咲きの桜に朝の光が当たると、誰でも佇んで見上げてしまいます。 なんて美しいのだろうと。 けれど、その花びらが顔に舞い落ちると煩わしいような、もう…

【1】『花の降る午後』上・下巻 宮本輝著

宮本輝さま、お元気でおられますか? 『花の降る午後』を読ませて頂きましたので、心に浮かんだことを お便りにしてみます。 神戸北野坂に降る花びらは、やはり桜でありますように。 まだ満開にはなっていないのに、海から吹いてくる風に揺れ、誰かの訪れを…